格安SIMとして競合となる 楽天モバイル に対する実際の利用者の評価はどのようになっているのでしょうか?
本来はこのあと、mineoで比較検討した のと同様に契約者数の推移を見ていきたいところです。契約者数の推移を参考とする理由ですが、契約者数の推移を利用すれば、実際の利用ユーザ個々人の個別事情が加味されたミクロな評価は汲み取れないものの、逆にマクロな数字として大きな傾向を把握し、全体感としての評価を捉えるのには、より適していると考えられるからです。
しかしながら、楽天モバイルに関する公式な契約者数は、楽天のサイトはもとより楽天モバイルのサイトのどこを探しても簡単には見つかりません。。。
有益な情報を何ら得られないままになってしまうのは避けたいところでしたのでえ、サイト内を散々探し回ったところ、契約者数に関して参考となりそうな情報が唯一乗っているモノを見つけ出しました!
同じような情報を探したいと思われる方の参考になればと思いますので、この下では、見つけ出した情報をご紹介していきます。ご参考になれば幸いです。
楽天モバイル の契約者数の推移
先ほども少し触れましたが、具体的な契約者数や回線数の推移に関する具体的で公式な数字は、Webサイトのどこを探しても見当たりません。ただ直近で、楽天モバイルではなく楽天の企業サイトで参考となりそうな数字が出てきていますので、ここではその数字をご紹介します。
2017年度第3四半期 楽天決算資料からの抜粋
上記資料は、楽天の2017年度第3四半期の決算説明会資料からの抜粋となっています。
資料には、2017年11月だけでなく、2015年11月・2016年11月の過去2年分についてもグレーで契約者数の棒グラフが描かれています。ただ、2017年11月以外については具体的な数字の記載はなく、正確な数字の比較は残念ながらできません。
棒グラフの縮尺が各年で同じになっている保証は無いのですが、仮に同じ縮尺で描かれているとすると、年を追うごとに倍々ゲーム以上の様相で契約者数を劇的に伸ばしてきていることになります。
なお、同じく楽天のサービスの1つであるKoboやViberについては、決算資料上、正確な登録ユーザー数やID数が四半期や半期ごとの推移で正確に記載されていることと比較すると、楽天モバイルの扱いは随分と控えめであいまいな扱いに見えてしまいます。
契約者数の推移は結局正確には分からない
楽天の決算資料上に初めて楽天モバイルの記載が登場したのは2014年度の第3四半期からです。
その後も楽天の決裁資料上には楽天モバイルに関する記述は継続的に出てきているものの、申込件数の推移を表したグラフが出てくるのみです。
また、トータルでの契約者数についての記載も無く、解約数や解約率についての記載もありません。
以下に、2015年度末決算と2016年度末決算時の決算説明資料から該当記載箇所を抜粋しておきます。
楽天モバイルの契約者数の推移が載っていると思って期待してここまで読んでいただいた方、大変申し訳ございません。。。楽天発表の公式資料から読み取れる情報はここまででした。。
契約者数と 楽天モバイル に対する評価
圧倒的知名度
楽天モバイルの格安SIM事業者としての参入時期は2014年で、比較的後発組に位置づけられる。
ただ、もともと巨大な顧客基盤を獲得していた楽天や楽天カードとの相乗効果を狙ったキャンペーンを継続的に行っていたり、また、有名タレントやアーティストを起用した派手なTVCMを一時期相当に打ちまくっていたりして、知名度的としては他の格安SIM事業者を圧倒している感もあります。
FREETEL買収
また、直近で格安SIM事業の競合であったFREETELを買収しその契約者の獲得にも成功。
楽天のニュースリリース(会社分割(簡易吸収分割)による事業の継承に関するお知らせ)
FREETELのニュースリリース(会社分割に関するお知らせ)
それらの効果の甲斐もあって、直近の契約者数としては前出の決算資料に記載のとおり140万件を突破しています。
FREETELを買収する前まで、他の個人向け格安SIM事業者を含め最大回線数は100万契約程度であったことを考えると、この140万という数字は群を抜いています。
過当競争感の出てきた格安SIM事業においてはポジティブ
直近でFREETELを買収しその契約者数が単純に加算されているという特殊事情は有れど、過当競争感の出てきた格安SIM事業において圧倒的な契約数を維持することは、楽天モバイルの競争力維持のためにはプラスに働くものと予想されます。
ちなみに、契約数をIIJやOCNモバイルONEと比較した場合、IIJやOCNモバイルONEはMVNEとしての回線数も相当数あるため、トータルの回線数としては、なおIIJやOCNモバイルONEに分があるかもしれません。
別資料では 楽天モバイル のシェアは分かるのでその数値を考察
本来であれば、直接的に楽天モバイルの契約者数を評価したいところでしたが、どうにも具体的で直接的な数字が見当たらないことから、契約者数を直接評価することは一旦あきらめ、切り口を変えることにします。
具体的には、楽天モバイルではない別の第三者機関が発表している資料から攻め込んでみます。
具体的には、第三者機関が定期的に発表している格安SIM事業者のシェアを見てみるようにします。
国内MVNO市場におけるシェア
第三者機関が発表している国内MVNO市場のシェアに関する資料は、いくつか存在しています。具体的には、以下のような資料があります。
資料によっては、実際に格安SIMを利用しているユーザに聞き取り調査を実施し数値化しているのような資料もあるため、各資料を見比べてみると、ある程度のゆらぎがあるのも事実です。
直接事業者から発表された契約者数をまとめた資料ではないため、そのような資料構成上の前提を考慮に入れたうえで、参考情報として活用してください。
ICT総研
ICT総研によると、
“10,703人に対するWebアンケートのうち、格安SIM利用者1,024人の回答結果を元にした利用者シェアや顧客満足度の実態把握に加え、「格安SIM」契約数の市場規模についても推計した。”
とのこと。この調査結果では、楽天モバイルが首位で利用者シェアとしては20.9%となっています。
MMD研究所
MMD研究所によると
“15歳~69歳の男女42,784人を対象に”
ヒアリングを行い、その対象者の中で
“格安SIMを利用していると回答した人(N= 6,131)を対象に、メインで利用している格安SIMサービスを聞いた”
調査結果となっています。ここでも楽天モバイルが首位で割合的には20.5%となっています。
MM総研
こちらの調査結果で事業者別シェアを見てみると、グラフ作成の前提として企業向けSIMの回線数も加味されてグラフが作成されているため、グラフ上ではIIJやOCNよりシェアが劣っている図となっています。
ただ、個人向けSIMに限定すると、直近でのFREETEL買収の効果もあり、楽天モバイルが首位となっていると見込まれます。
シェアに対する考察
直接的に楽天モバイルから発表されている数値ではないものの、いくつかの調査結果で同様な結果となっていることからして、その結果の確度はかなり高いと言えるでしょう。
内容としては、個人向け格安SIMに限定すると、いずれの市場調査においても、首位を獲得していることが見て取れます。割合的にも20%を超える市場シェアとなっており、2位以下の事業者よりも頭3つか4つ分くらい抜け出している印象です。
現状600社以上が参入していると言われる格安SIM事業において、これだけのシェアを獲得しているということからして、利用者からの評価もそれなりに高いと言えるのではないでしょうか。
まとめ
格安SIM事業に参入後3年足らずのあいだに140万件まで契約数を伸ばしてきている楽天モバイル。
一時期、有名アーティストやタレントを起用してかなり派手にTVCMを実施
知名度の高い楽天のいくつかのサービスとの相乗効果を狙ったキャンペーンが多数
直近でFREETELを買収して契約者数を一気に獲得
といったように、事業拡大に向け積極的に手を打ち続けているのも特色であり、実績も積み上がってきています。
仮に、今後も新入学・就職シーズンなどに向けて改めてTVCMを大々的に打ち続けるのであれば、契約者数が拡大していく可能性は十分あると考えられます。
もしくは、FREETELのような別の格安SIM事業者を今後さらに買収することも考えられ、過当競争感が徐々に強まってきた格安SIM事業において存在感をさらに強めるのか、引き続き目が離せません。